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海外特派員

Foreign Correspondent
ジャンル: ミステリー・サスペンス , ドラマ , アクション
公開: 1976/09/11
製作国: アメリカ
配給: インターナショナル・プロモーション

    海外特派員 の映画レビュー (最新順)

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    全1件
    • 5.0 ハラハラ クール

      ネタバレ   このレビューはネタバレを含みます。
      「レベッカ」でアメリカ映画界で華々しくデビューしたアルフレッド・ヒッチコック監督は、この2作目の「海外特派員」で早くも、彼が得意とするジャンルの、追いつ追われつのスパイ謀略サスペンスにチャレンジしている。

      しかも、第二次世界大戦勃発の危機を世界に伝えようとする新聞記者の活躍という、1940年製作の映画としてはタイムリー過ぎるほどのネタを、実験精神旺盛な斬新なテクニック満載で描いているのだから、もうとにかく凄いの一語に尽きる。

      この映画の舞台となるのは、ナチス・ドイツの侵攻によって揺れ動く、激動のヨーロッパ。現地の情勢を取材するためにイギリスへと派遣されたニューヨークの新聞記者ジョニーは、オランダ政界の大物ヴァン・ミーアと接触すべく、歓迎レセプションへ出掛けていく。

      ここで、ヒッチコック映画でのお楽しみ。ホテルから出て来たジョニーとすれ違う、新聞を読む男がヒッチコック----。その登場をきっかけにするかのように、ノン・ストップ・サスペンスが華やかに開幕していく。

      ヴァン・ミーアがレセプションを欠席したために、次なる接触の場所であるオランダのアムステルダムの平和会場へと向かったジョニーは、ヴァン・ミーアの暗殺現場に遭遇。犯人を追跡することになるが----。

      ここからは、ヒッチコック監督の絢爛豪華で華麗な、"ヒッチコック・テクニック"の乱れ打ちとなっていくのです。

      雨中の暗殺場面で、広場を埋め尽くした群衆の雨傘を、キノコの群れのように見せる"俯瞰ショット"や、当時としては、かなりハイテンポでスリリングなカーチェイス。

      風車小屋内で繰り広げられる、敵に見つかるか見つからないかのハラハラ、ドキドキのシーン。このシーンでは、人影もない一面の平野に建ち並んだ無数の風車が、一斉に回転し続ける中で、一つの風車だけがゆっくりと逆回転している。

      「海外特派員」の中のこの後世に語り継がれる有名なシーンは、何度観ても実に不思議な味わいを持って、私の胸に迫ってくる。

      風車が風に逆らって回るのは、もちろん不思議なことに違いない。だから、この映画の主人公のジョニーも、すぐにこれが悪人どもの合図であることに気付くのだが、このシーンの魅力は、そういう合理的な説明、あるいはストーリーにとっての風車の役割を超えたところにあると思う。

      観ている我々も、主人公と同じように、風車が逆に回っているのは不自然なことだと気付くのだが、その不自然さを不自然さとして意識し、意味付ける前に、この光景全体に魅了されてしまうのだ。

      つまり、一つの風車だけが逆回転しているそのこと自体が、何の論理的な意味付けの無いまま、言わば悪夢のような衝撃性を持っているのだ。そして、この衝撃は、風車の逆回転が意味付けを与えられた後にも消滅することなく、観る者の意識の底へ沈殿するのだ。

      ヒッチコック監督の作品には、いつも、このように意味付けを超えた衝撃とその沈殿が執拗に繰り返される。そして、その累積的な効果が、多くのヒッチコック監督の作品を、単なるウェルメイドのサスペンス映画以上の何かに、つまり、一度観たら忘れられない"映画的な陶酔"の源になっているのだと思う。

      それから、寺院の展望台での格闘の末に一人が落ちるが、それをロング・ショットで見せ、どちらが落ちたかを観る者に見せない心憎さや、飛行艇が海へと墜落するのを操縦席からの主観で、ワンカットで見せるびっくり仰天の大トリック撮影、そして水面に漂う飛行艇の胴体から離れた翼がスルスルッと流れ去っていくショットなども、同じようにストーリー描写上の意味付けを超えた衝撃性をもって印象付けられるのだ。

      もう、とにかく、サスペンス映画史上に残る見せ場が、これでもかこれでもかというように、連打連発される面白さは、まさに圧巻の一言だ。

      この映画の製作にあたり、ヒッチコック監督に熱烈なラブ・コールで出演の依頼を受けながらも、当時はまだ低俗とされていたスリラーであることを理由に、主演を断ったゲーリー・クーパーが、完成したこの作品を観て、地団駄を踏んだという有名なエピソードが残っていますが、彼の気持ちもよくわかるような気がします。

      この「海外特派員」は、ヒッチコック監督を敬愛するスティーヴン・スピルバーグの映画によって加速した"ジェットコースター・ムービー"の原点が、ここにあると思うのです。
      >> 続きを読む

      2017/03/13 by dreamer

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