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Z
ジャンル: ミステリー・サスペンス , アクション
公開: 1970/11/21
製作国: アルジェリア , フランス
配給: コロムビア

    Z の映画レビュー (最新順)

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    全1件
    • 5.0 ハラハラ クール

      ネタバレ   このレビューはネタバレを含みます。
      この映画「Z」は、コスタ・ガヴラス監督が実際にギリシャで起こった左翼政治家暗殺という政治上の事件を、巧みな話術で政治の暗部を暴き出した、映画的にみても一級のサスペンス映画になっている稀有の作品だ。

      とにかく、一瞬たりとも目が離せない面白さに溢れている映画で、十分な調査を土台にして、大変うまく書かれた週刊誌の暴露記事のように、そんなことがあったのか、と、意外に思うような"政治の内幕"を次々と並べていき、うまい大衆小説のような巧みな語り口で、観ている者をその陰謀の渦中に引っ張り込みながら、義憤を盛り上げていくのだ。

      まるで、フランス版の松本清張という感じなのだが、松本清張の特色である暗さとは逆に、痛烈なユーモアのあるところが、実にいいと思う。

      ある国で平和運動家として人気のある野党の大物党首Z氏(イヴ・モンタン)が、反共主義者の憲兵司令官の指揮によって、自動車事故と見せかけて暗殺される。

      作品の中ではひとつも明示されていないが、これは実は、実際にギリシャで起こった事件で、Z氏が暗殺されるまでの導入部は、政治的弾圧というものがむき出しで行なわれる国ならば、どこでもこんなことが起こり得るだろうし、現にどこかで起こっているのではないか、と思わせるだけの切迫した気分を持っているのだ。

      コスタ・ガヴラス監督は、ヒッチコックばりの歯切れのいい画面処理で、サスペンス・アクションものとしても相当な出来だと思う。

      このZ氏の死因に疑問を持った新聞記者(ジャック・ペラン)が、これが軍部の陰謀であることをつきとめ、最初それを信じていなかった検事(ジャン・ルイ・トランティニャン)も、証拠をつかむと、断固として軍の首脳部の大量起訴に踏み切ったため、軍はクーデターを起こし、記者や検事はもちろん進歩派をみんな逮捕して政権を掌握してしまうのだ。

      この後半は、犯罪捜査もののスリルに加えて、権力者に対するむき出しの"嘲笑的な鋭い風刺"があり、我々観る者を怒らせながら笑わせる。

      このように映画自体の語り口が、大衆的な調子なので一見底が浅いようにも見えるが、しかし、この"怒り"は本物であると思う。

      なお、この映画の「Z」というのは、ギリシャの古語で隠語的な意味合いで、"彼は生きている"ということらしく、コスタ・ガプラス監督はギリシャ出身であり、脚色者のホルヘ・センブルンは、革命派だったために祖国を亡命していたスペインの作家であり、また音楽のミキス・テオドラキスはギリシャで進歩派として逮捕されて、獄中でこの映画のテーマのメロディーを作曲したということだ。

      そして、驚くべきことに、この映画で新聞記者に扮した俳優のジャック・ペランが製作をしていて、フランス映画人の自由への弾圧、侵害に対する抗議の姿勢を示していて、これはなかなか凄いことだと思う。

      コスタ・ガブラス監督は、この映画の後、戦後のチェコスロバキアにおける、共産党の自由派に対する暗黒裁判を暴露した「告白」をイヴ・モンタン主演で、これも痛烈な苦渋と悲劇的な哄笑とを伴った政治映画を撮る事になるのです。

      なお、この映画は公開後、世界各国で絶賛され、1969年度の第42回アカデミー賞で最優秀外国語映画賞・編集賞、同年のゴールデン・グローブ賞で最優秀外国語映画賞、カンヌ国際映画祭で審査員賞、最優秀主演男優賞(ジャン・ルイ・トランティニャン)、NY映画批評家協会賞の最優秀作品賞・監督賞、全米批評家協会賞の最優秀作品賞、英国アカデミー賞で最優秀作曲賞を獲得しています。
      >> 続きを読む

      2017/01/30 by dreamer

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    ゼット

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