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田舎の日曜日

Un Dimanche a la Campagne
ジャンル: ドラマ
公開: 1985/11/02
製作国: フランス
配給: フランス映画社

    田舎の日曜日 の映画レビュー (最新順)

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    全1件
    • 5.0 切ない クール

      ネタバレ   このレビューはネタバレを含みます。
      "優しい色調に彩られた自然を背景に、古き良き時代の美しい一日を醒めた眼でベルトラン・タヴェルニエ監督が淡々と描いた 「田舎の日曜日」"

      ほんの一瞬、こんな気分になる事があります。眠ったような平和で静かな昼下がり、陽ざしがぬくぬくと暖かくて、周りの風景が白く光って何も見えないような----。全ての時間が止まって、物音ひとつせずに、夢ともつかない一瞬の夢を見るような----。

      柔らかな光と影の効用をうまく使ったこの映画「田舎の日曜日」を観ると、いかにも以前に経験したような、なじんだいい気持ちになり、平和な田舎の午後の世界に溶け込んでしまうような気分になるのです。

      ルノワールを思わせるような初老の画家ラドミラル(ルイ・デュクルー)は、数年前に妻に先立たれてからは、気心の知れた家政婦とパリ郊外で静かな生活を送っていました。

      そんな、ある秋の日曜日、いつものようにパリから息子ゴンザグが嫁のマリーと3人の孫を連れてやって来ます。息子夫婦が到着すると、陽光を浴びて樹木が美しく輝く広い庭に、孫たちの陽気な声がこだまします----。

      息子は誠実でいい男なのですが、どうもまっとうすぎてつまらない。嫁の方も気はいいけれど、あたしたちの人生は間違っていないと自信たっぷりなところが、神経にさわる。心のヒダというかアヤがなく、善人すぎてイライラする----と、こんな風にラドミラルは心の底で思っています。

      そこへ、前ぶれもなく不意に娘のイレーヌ(サビーヌ・アゼマ)が立ち寄ります。このイレーヌはラドミラルの自慢の娘で、好奇心に満ち、いつもけたたましく底抜けに陽気で、華やかな空気を振りまいていますが、どうやらまた新しい恋人とうまくいっていないようなのです。

      自分勝手で、生き生きと個性的なイレーヌは、その個性ゆえに、人生に多くを求めすぎて傷ついてしまっているのです。そんな娘がラドミラルにとっては、憐れでもあり、愛おしくもあるのです。

      自分が天才ではないと思い切りがついた時から、老画家のラドミラルは、身の回りの小さな世界だけを描くようになって来ました。「日常を愛するのが、人間の幸福な人生なのだ」と、彼は自分の事に託して、さりげなく娘にアドバイスしたりするのです。

      イレーヌには、まだジタバタせずにはいられない若さというものがありますが、でも、父の気持ちは痛いほど感じるため、ただ「踊って」とダンスに誘いますが、この父娘が踊るシーンの何とも言えない美しいこと----。

      また、息子のゴンザグにしてみれば、自分のほうが妹より出来がいいのに、子供の頃から父親は妹びいきで、面白くないと思っている----というように、何か特別な出来事が起こるわけではなく、一人の老人の眼に映り、心に響くひとつひとつが、幸福な日曜日、長い人生の一部なのだと語りかけてきて、優しい色調に彩られた自然を背景に、古き良き時代の美しい一日を醒めた眼で、監督のベルトラン・タヴェルニエが淡々と描いた、そんな牧歌的な映画なのです。

      なお、この映画は1984年度のカンヌ国際映画祭で、最優秀監督賞を、同年のニューヨーク映画批評家協会賞の最優秀外国映画賞を、また、フランスのアカデミー賞と言われるセザール賞の最優秀主演女優賞(サビーヌ・アゼマ)・脚色賞・撮影賞を、それぞれ受賞しています。
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      2016/07/19 by dreamer

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