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トーク・レディオ

Talk Radio
ジャンル: ミステリー・サスペンス , ドラマ
公開: 1989/05/27
製作国: アメリカ
配給: 東宝東和

    トーク・レディオ の映画レビュー (最新順)

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    全1件
    • 4.0 切ない クール

      ネタバレ   このレビューはネタバレを含みます。
      "観終えたと同時に、映画的な体験は消え、問題を抱えた現実が浮上する 鬼才オリバー・ストーン監督の「トーク・レディオ」"

      新作を発表するたびに"問題作"と惹句を冠されてしまう監督、オリバー・ストーン。それは果たして、彼にとっては幸福なのか不幸なのか?

      この映画「トーク・レディオ」は、主人公のDJバリーに扮するエリック・ボゴジアンがS・シンギュラーの原作に惚れ込み、ニューヨークのオフブロードウェイで自作自演していた舞台劇を、オリバー・ストーンが脚色、監督した作品だ。

      地方のラジオ局の深夜放送ナイト・トークは、電話による聴取者参加の対話番組だ。DJのバリーは、彼らの些細な悩みやドラッグ、セックス、人種問題などタブーな問題に対して過激なコメントをつけ、人気を呼んでいた。放送中には、そんな彼の毒舌を憎み、毎回脅迫する者がいたが、やがて番組の全国ネットでの放送が決定する------。

      映画はこのラジオ局のスタジオが中心の密室劇ですが、カメラは孤立無援なDJバリーの横顔を切り取り、360度パンを駆使して生々しい臨場感で描いていく。音楽担当は、ポリスのドラムス、スチュアート・コープランド。ペンギンカフェ・オーケストラの「テレフォン&ラバー・バンド」をラストに使うあたりなど、心憎い選曲だ。

      この映画の全編は、番組中のやりとりがほとんどで、ダラダラと悩みを垂れ流す聴取者たち。それに対して、ダーティな罵詈雑言をぶつけ返すバリー。しばし電波を独占するこの醜悪な告白集は、"病んだ心"の言葉であるがゆえに、"心の病んだ"社会の断面を映し出す鏡になっていると思う。「予言者の言葉は、地下鉄の壁や安アパートの廊下にも書かれている」(サウンド・オブ・サイレンス)という訳だ。

      だが結局、自分の言葉が誰にも届かぬことに失意したバリーは、大衆という"匿名的存在の正体"に向かうため、より過激なトークへと突き進んでいく。「偏見に毒された臆病者、誇大妄想でひねくれた夜更かしの酔っ払い、わいせつなのぞき屋----」。そう、我々の本当の姿を白昼にさらすために。

      そんな彼に同情する前妻を前に、プロデューサーは言う。「あれが彼の番組さ」と。なるほど、一歩下がって見れば、番組は聴取者の日頃の不平不満のはけ口の場であるし、バリーにとっても、指先一つで相手の電話を切り、"声の権力"を行使できる一時のショーにすぎないのだ。

      そして、彼がDJブースというメディア=聖域から出てみれば、そこには彼を憎む者たちが用意する、重たい鉛の弾が待っていたのだ------。そして、それが現実だ。

      オリバー・ストーン監督の提起する"問題"もまた同様に、映画というメディアの外に横たわる現実においてのみ存在するのだと思う。

      観終えたと同時に、映画的な体験は消え、問題を抱えた現実が浮上するという仕掛けだ。したがって、この作品はあくまで現実を相手にした、石のように固い意思を持つオリバー・ストーン監督の"トーク・ムービー"であり、その意味で、紛れもなく"問題作"なのだ。
      >> 続きを読む

      2017/06/28 by dreamer

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