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そして誰もいなくなった

And Then There Were None
ジャンル: ミステリー・サスペンス , アクション
製作国: イギリス
配給: インターナショナル・プロモーション

    そして誰もいなくなった の映画レビュー (最新順)

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    全1件
    • 2.0

      ネタバレ   このレビューはネタバレを含みます。
      この映画「そして誰もいなくなった」の原作は、ミステリーの女王アガサ・クリスティーの中期の名作というよりも問題作で、ある孤島に判事、秘書、退役軍人、医師など10人の男女が招待される。

      だが、マザー・グースの唄をなぞった順番に殺され、文字通りタイトルのように、「そして誰もいなくなった」となるわけだ。

      密室的な状況で、犯人不在の連続殺人。しかも読者に与えられる論理的な手がかりは皆無ときている。アンフェアどころの騒ぎではない。だが、やはり楽しいのだ。

      童謡の調べに肌をザワザワさせながら、最後に「あれっ!」の背負い投げをくらう楽しみ。大人の童話とでも言いたくなる企みの精神は、本格推理小説のみが持ち得る稚気の部分であると思う。

      このように活字の世界では、抜群の楽しさ、面白さが味わえても、いざそれを映像に移し変えると退屈極まりない作品になってしまうという見本のようなものが、この映画化作品だ。

      それは、人物描写の単調さや無機物化と同時に、映画の武器である、"時間や空間の自由な飛躍"を拒否した作り方に問題があったのだと思う。

      クリスティーの原作では、孤島に招き寄せられた10人の人間が次々に殺されていくという大胆な設定であるが、この映画化作品において、孤立化された砂漠の真ん中のホテルに舞台を置くといった新趣向を編み出しながら、その設定自体はほとんど映画的魅力としての意味を持たず、ただ目先を変えただけの趣向倒れに終わってしまっている。

      それに、場面転換の変化の乏しさや、演技陣にさして魅力を感じさせないキャスティングの弱さなどが加わって、どうしようもない退屈さへと私を誘導していくのだ。

      スリラーの神様、アルフレッド・ヒッチコック監督ばりのハラハラ、ドキドキのサスペンス・テクニックに酔うには、ピーター・コリンソン監督の演出が愚直すぎる。

      あまりにもポピュラーな原作だけに、作り手はもっと自由な"映画的飛躍"を試みるべきであったと思う。遅すぎるテンポ、魅力に乏しい演技陣、緊張感の欠落したディスカッション・ドラマの長丁場、そして、原作から"悪く離れた結末"と、いいところなしの推理ドラマになっていると思う。

      真面目に作られているだけに、その愚直ぶりが残念でならない。もっと、映画的な斬新さが欲しかったと思う。これほど場面が固定し、変化の少ない世界ならば、せめて人間たちの心理的な部分を凝視、その葛藤の緊迫感を盛り上げるべきだったのだ。

      シチュエーション・ドラマの色合いが濃厚な原作だけに、映画よりむしろ舞台劇の方が肌に合いそうな気もする。しかし、舞台劇の映画化でも、ヒッチコック監督の「ダイヤルMを廻せ!」やビリー・ワイルダー監督の「情婦」、ジョゼフ・L・マンキーウィッツ監督の「探偵<スルース>」などには、たっぷりとした映画的感覚の魅力が溢れていたことを考えるならば、やはりこの映画のピーター・コリンソン監督の演出の不手際を痛感せざるを得ないのだ。

      1945年製作のルネ・クレール監督の同じ原作の映画化作品も、クレール監督の才気をもってしても凡作に終わったことを考えるならば、よほどこの「そして誰もいなくなった」という作品は、映画化には難しい"活字の名作"なのかも知れない。
      >> 続きを読む

      2017/02/26 by dreamer

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