こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 映画ログ - 映画ファンが集まる映画レビューサイト →会員登録(無料)

赤穂城断絶

ジャンル: 日本映画 , ドラマ , 時代劇
公開: 1978/10/28
監督:
キャスト: , , , ,
製作国: 日本
配給: 東映

    赤穂城断絶 の映画レビュー (最新順)

    最新のレビュー順 | 人気のレビュー順 すべての映画レビューとコメントを開く
    全1件
    • 5.0 ハラハラ クール

      ネタバレ   このレビューはネタバレを含みます。
      "忠臣蔵というドラマの中に男の意地と人間の持つ弱さへの限りない共感を持って描いた、深作欣二監督の「赤穂城断絶」"

      この映画「赤穂城断絶」は、私が日本の映画監督の中で最も好きな深作欣二監督が、"忠臣蔵"に挑んだ作品です。

      元禄14年3月、江戸城、松の廊下において、赤穂藩の藩主・浅野内匠頭が、吉良上野介への刃傷沙汰。それで、赤穂藩取り潰しの上、内匠頭は切腹になりますが、国家老・大石内蔵助を初めとする赤穂の浪士たちが、元禄15年12月14日に吉良邸に討ち入りし、吉良上野介の首をはね、見事、主君の仇討ちを果たす----。

      このように、今まで仮名手本忠臣蔵などの歌舞伎で繰り返し上演されたり、映画、TVでも数多く上映、放送されて来た、いわば日本の国民的ドラマと言っても過言ではない"忠臣蔵"。

      1970年代の半ば以降の"時代劇復活"の波にのって、東映がエース監督の深作欣二のメガホンのもと、まず、「柳生一族の陰謀」を製作し大ヒットさせ、続く第2弾として製作されたのが、この「赤穂城断絶」です。

      「柳生一族の陰謀」で、まるで現代劇のように、人間の我欲のぶつかり合いを描いた深作欣二監督が、どんな"忠臣蔵"を撮るのかが、当時、非常に注目されました。かつて、1970年代前半に、"実録ヤクザ路線"の「仁義なき戦い」シリーズ等を撮った、日本映画界のエース深作監督でしたから。

      しかし、意外な事に、この映画は決してモダンな"忠臣蔵"ではなく、むしろオーソドックスな映画に仕上がっていたような気がします。主君のために仇討ちをやり、そのため自分たちの命までも捨てる、といった四十七士の話は、あるいは現代人の価値観、感覚からみたら、到底、ワリに合わない事かも知れません。

      しかし、あの時代の人たちが、ああいうふうに生きたという事は、まぎれもない事実であり、それを今の時代の価値観から批判しても意味がないのではないか----と言うのが、深作欣二監督がこの映画を撮るにあたっての基本的な考えであったのだろうと思います。

      深作監督は、むしろ大石内蔵助というユニークな人物像の創造に力を込めているように思います。お家断絶というような非常事態になっても、決して動揺せず、ひたすら冷静に、計算ずくで行動しようとします。

      一時的な感情に走る事はなく、感情的に突っ走ろうとする浪士たちを、なだめすかしながら、じっくりと引っ張って行きます。まさに、浅野家のような地方の武家にしては出来過ぎなくらいの、このスケールの大きい人物を、当時、本格的な時代劇を演じられる数少ないスターであった萬屋錦之助が、威風堂々たる風格を持って演じています。

      しかし、だからと言って、決してこの大石内蔵助という人物を神格化している訳ではなく、絵を描き、酒を愛し、女好きで----といったように、彼が飲んで女遊びをするというのは、単に仇討ちのためのカムフラージュではなく、彼が本当に遊び好きだったのだという視点が、極めて人間的なのです。

      逆に言えば、あの討ち入りという大事を前にして、あれだけ女遊びに没頭出来るという事自体、この人物のスケールの大きさを物語るものなのかも知れません。

      そして、映画は主君への忠義というような事を、決して美化し、礼賛してはいません。だから、橋本平左衛門(近藤正臣)のような、仇討ちから脱落した人物にも、深作監督は人間の弱さや脆さといったものへの限りない共感を持って描いていて、そこに、挫折というものへの深い思い入れも込めて描いているのです。

      このようにして観てみると、ストーリー自体は正調忠臣蔵であっても、かつて数多く作られた忠臣蔵ものに比べると、遥かに人間味が豊かであり、そこにはやはり、"深作流の新しい視点"が、まぎれもなく存在するのです。

      忠義とか、そんな武士の大義名分より、いわば"男の意地"といったものが、映画の全編を通して、画面の中に脈打っているのです。だから、今の時代に生きる我々にも、共感出来る何かがあるのだと思います。

      そして、この映画の白眉とも言える、ラスト20分くらいの吉良家への討ち入りのシーンも、さすが、アクション映画を撮らしては第一人者の深作監督だけあって、ダイナミックな迫力に満ち溢れていて、映画的興奮の極致を味合わせてくれます。

      殊に、討ち入りする側の堀部安兵衛(千葉真一)と吉良側の小林平八郎(渡瀬恒彦)の両剣客が、火花を散らして斬り結ぶあたりの場面は、思わず身を乗り出して画面の中に引きずりこまれる程の"チャンバラの面白さ"に興奮させられてしまいます。

      そして、吉良上野介を見つけ、彼をグッと刺し殺す時の大石内蔵助の表情、そこには"男の怨念のほとばしり"があり、見事な名場面になっています。

      男というものは、こうして"男の意地"を果たさなければならない時があるのであり、それは時代を越えて、我々観る者の胸に突き刺さって来ます。

      そして、"男の意地"を果たした彼は、クールな表情で自らの腹をかっ切って果てるのです。
      >> 続きを読む

      2016/06/16 by dreamer

      「赤穂城断絶」のレビュー

    この映画を最近、ラックに追加した会員

    赤穂城断絶


    映画 「赤穂城断絶」 | 映画ログ

    会員登録(無料)

    今月のおすすめ映画
    読書ログはこちら
    映画ログさんのラック

    最近チェックした映画