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緋牡丹博徒

ジャンル: 日本映画 , ドラマ , ヤクザ , アクション
公開: 1968/09/14
監督:
製作国: 日本
配給: 東映

    緋牡丹博徒 の映画レビュー (最新順)

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    全1件
    • 5.0

      この映画「緋牡丹博徒」は、藤純子主演のまさに東映の任侠映画史に残る、"歴史的な"シリーズの記念すべき第1作目の作品だ。

      時は明治時代の中頃、熊本の博徒の一家に育った矢野竜子(藤純子)は、父を辻斬りで殺され、決まっていた堅気の男との結婚を諦めることになる。

      そして、その後、一家は離散、父の仇を討つべくお竜は仕込み刀を抱いて旅から旅に出て行くというのが物語の発端だ。

      とにかく、あらためて観てびっくりするのは、お竜の妖艶さと娘時代の可憐さが、藤純子という女優の中で見事に共存していることだ。

      その二つの顔に、全く違和感がなく、妖艶さは1972年の引退まで続く藤純子の代表的な顔。可憐さは「総長賭博」などで見せた「緋牡丹博徒」以前の彼女の顔。彼女にとっての一大転機となるこの「緋牡丹博徒」において、そうした二つの顔が混じり合っている面白さが満ち溢れているのだ。

      更に興味深いのは、旅先で出会う渡世人・高倉健に彼女は、お竜としての男勝りの顔を批判されることだ。「亡くなった親父さんは、そんなお竜さんを見たくはありませんぜ」と------。

      お竜はそれに対して、「私はもう女ではありません」と言い放つものの、内心では動揺を禁じ得ない。そして、唯一の子分であった山本麟一が、仇役の大木実らに殺されて、死ぬ寸前の描写。小さい頃からお竜を知っている山本は、ほのかな恋心をお竜に抱きながら、何と娘時代の可憐な姿を思い浮かべるのだ。

      刀さばきも颯爽としたお竜の今ではなく、山本の脳裏には健気な純粋無垢のままの矢野竜子が、死の間際にイメージされるが、ここでも強い"お竜像"は否定されるのだ。

      そしてラスト、殴り込みの助っ人という形となった高倉健は、敵の刃に倒れてしまう。駆け寄るお竜。「人殺しになって欲しくなかった」と健さん。「あたしのために」と問うお竜さん。「俺のために」と健さんが言い放つや、お竜さんは健さんを抱きしめ泣き続けるのだ------。

      もちろん、画面には緋牡丹の花が咲きほこっている。この感動的なシーンは、二人の恋情を超えて、まさに"緋牡丹博徒"として生き続けざるを得ない矢野竜子こと藤純子のその後を決定的にした意味が大きいと思う。

      可憐な彼女の幼い顔は、以降、影を潜め、斬ったはったの世界にその身を沈めていく、"一つの断念の描写"しての意味があるのだと思う。

      そして、より妖艶さと強靭さを増していくお竜像の徹底化こそが、"一つの神話"を形作っていくことになるのだ。いかにしてその神話が作られていったのか。この第1作目は、そのあたりの経緯を藤純子の心情を超えて、"一つの断念のドラマ"として提示しているのが、実に見事であったと思う。
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      2017/10/05 by dreamer

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