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エンディングノート

ジャンル: ドラマ , ドキュメンタリー
公開: 2011/10/01
監督:
キャスト:
製作国: 日本
配給: ビターズ・エンド

    エンディングノート の映画レビュー (最新順)

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    全1件
    • 5.0

      高度経済成長期を企業戦士として生き抜いて来た元サラリーマン氏が、退職するなり、医師から末期がんで余命幾ばくかと宣告を受ける。段取り好きで、何でもキチンと準備おこたりないのが信条の彼は、その日から自分の死に向けた段取りをして、万全の態勢でその日を迎えようとするのであった…と言うようなお話。

      ただ、劇映画ではなくて、これがドキュメンタリー。それも、役者を使った明らかな再現映像ではなく、映画監督を志す主人公の次女(実はこの人が本作の監督)が撮り溜めた父の姿を、ある程度の技巧や工夫はあるにせよ、映画用に編集して一本のドキュメンタリー映画に仕立て上げた作品です。ところどころ、昔のモノクロ写真や、やや古い8ミリビデオ映像なども交えてあります。

      実見する前は、穏やかな、淡々とした作品を想像していました。実際に見て、確かに、全体としては、概ね穏やかと言える作品でしたが、想像以上に起伏のある作品でして、クライマックス的な盛り上がりもありまして、人の死を描いた作品を前にして、少々不謹慎かもとは思うのですが、率直に言って、「面白い」と言える作品だったと思います。

      その面白さの秘密は、残念ながら私には旨く読み解くことが出来ないのですが、それでも背伸びして説明を試みるなら、一つには主人公の人柄の良さでしょうか。そして、砂田麻美監督の捉え方というか、切り取り方が旨いのでしょう。幾ら、良い人だ、面白い人だ、魅力ある人物だと言っても、その全てを一本の映画で見せることは不可能なわけで、当然、撮る人の切り込み方とか、捉え方、どこに焦点をあてるかで、取り上げられる人物像は大きく変わって来るのでは?その辺り、この監督さんも旨かったのだと受け取っております。

      会社人間ではあったのですが、その根底には一生懸命に家族を養い、支えたいという、一種の家族愛があったわけで、平凡ではあるのかも知れませんが、好ましいというか、ある意味立派な父親像であった気がします。葬式は近親者のみで簡素に済ますことを希望し、自宅からほど近いカソリックの教会を選んだのも、欧米文化への憧れみたいな部分もあったのかも知れませんが、一つには費用を比較的抑えられるのでは?との考えからでした。そんな家族思いの人物であるのと同時に、孫と戯れる姿などを見るにつけ、愛嬌のある人物でもあったように思います。

      自分の死を前にして、為すべきことの段取りを決めて、一つ一つ達成して行く…昔、『死ぬまでにしたい10のこと』という劇映画がありましたが、それを思い出したりもしました。似ているところもなくはないですが、本作の方が、旨くまとめたなという印象はあります。こちらの方が後発の作品ではあるわけですが。

      本作でプロデューサーをされた映画監督の是枝裕和さん。パンフレットによれば、本作の砂田監督はこの人の弟子みたいな存在であるらしいのですが、実はこのお師匠様はドキュメンタリー映画を撮るにあたり「取材対象の内面を他人が安易に語ってはいけない」という信条の持ち主。故に、家族や恋人などの「身内」を撮ったセルフドキュメンタリーはお嫌いとのこと。若手に尋ねられたら、やめたほうがよいとアドバイスすることにしているとか。

      それなのに、砂田監督が「観て欲しい」と持ってきたのが本作。娘(砂田監督)が父(主人公)を撮り、その父の内面をモノローグでナレーションに…。正直(ケンカ売ってるのか!)と思ったそうです。にも関わらず、本作のプロデューサーを引き受け、お金まで出してしまったとか。是枝さんの中で、限りなく高くなっていたハードルを、本作は軽々と超えて来たから…。撮り手の、自分(砂田監督自身)と被写体(父)に対する「冷静なふたつの批評性」によって、アクロバティックにドキュメンタリーとして成立していた、とのこと。「人間の、生命の、家族のおかしみと哀しみの両方に届いていた。」と感じられてしまわれたためであるようです。

      難しくて、私にはよく分からないのですが、たぶん、砂田監督のドキュメンタリー映画制作者としての、題材に対する見方というか、捉え方、切り込み方が良かったということなのかなぁ~、と受け取っております。

      まあ、いずれにせよ、私は本作は、ドキュメンタリー映画として、とても面白味のある作品であると思っています。と同時に泣ける映画でもあると思います。その意味でお薦めの一本です。
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      2015/06/06 by ぴぐじい

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