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しわ

ARRUGAS
ジャンル: ドラマ , キッズアニメ・映画 , ファミリー
公開: 2013/06/22
キャスト:
製作国: スペイン
配給: 三鷹の森ジブリ美術館

    しわ の映画レビュー (最新順)

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    全1件
    • 5.0

      地元映画館での再映で拝見。スペイン製アニメーション映画。お話の舞台はスペインの老人ホーム。主人公はそこの入居者である人々。テーマは老いとどう向き合うか。終の棲家となりそうな老人ホームで、どう過ごし、どう他の入居者とつき合い、関わり合うか。その辺りにありそうです。

      キャラクターデザイン等の絵柄は、何となく、日本の漫画家で、『ナニワ金融道』の作者、故・青木雄二さんの絵を一瞬思い出させるような画風。アニメーションなんて、子供かファミリー向けと考える人がまだまだ多数派を占めるであろう世界で、少年や若者どころか、中年もすっ飛ばして、老人が主人公で、老いを描く作品は、類例が皆無ではないにしろ、貴重では?

      お話は狂言回し的人物である、元銀行マンのエミリオが、介護の負担に耐えかねた息子夫婦によって、老人養護施設に入所させられるくだりから始まります。同室のミゲルは陽気な男ですが、少々金に汚い。タカリ癖があるのです。見え透いた嘘を言っては、紙幣をせびり取る(実はある目的の為なのですが…)。手癖まで悪いのか、エミリオは時々、財布や高級腕時計、靴下まで盗難にあう始末。

      所内には、認知症の進んだ夫と、その世話の為に、自身は健常者であるのに、施設に入所した妻。パック入りのバターやティーバッグを集めるのが趣味の女性アントニア。出所しようと、息子たちに連絡をとるべく、毎日電話を探し続ける、でも、いつも何を探していたか、結局忘れてしまう女性。自室の窓を、オリエント急行の車窓に見立てて、空想に浸る女性。他人の発言をオウム返ししてばかりいる男性。その他諸々の多彩多様な老人たちが集う。

      一見平和だが、認知症やアルツハイマー等の症状が進むと、2階に送られて、二度と戻ることは無い。そんな不安や恐怖にかられながら、日々を過ごす彼ら。そんな苦悩を面会に来た息子たちに訴えることもままならず、ずっと我慢の子のエミリオ。そもそも、文句を言う身内さえいないミゲル。集めたバターやティーバッグを、面会に来た孫にプレゼントしようとして、絶句される(というか、ドン引きされる)アントニア。

      この辺り、是非、次は我が身と思って、いろいろな人々に見ていただきたい。比較的若い人には、うんと想像力の翼を広げていただいて…。まあ、身近に老人のいない方には、少々難しいかも知れませんが。

      でも、救いもなくはありません。夫婦で入居している2人の昔話は微笑ましさ溢れるものです。ほかにも、ちょっと目線を変えれば、もっとずっといい方に変われるかも知れない。そんな可能性がそこかしこにあるような、ないような。それに誰かが気付けるとして、それはいつのことになるのか…。そこらへのお話の持って行き方も旨いです。

      最後、どうなるかは伏せておきますが、老人ホームの経営や運営のあり方とか、そもそもその背景にある国の制度などを痛烈に批判して終わる、というような性質ものでは、あまりありません。むしろ、入居者の老人たち自身の心構えと申しますか、老いとの向き合い方、他者との関わり方、その他の生きる姿勢を問うものであったように思います。

      評価は満点付けておきます。程よく考えさせられる、そして、しんみり、じんわり来たりもする、よき作品であったと思います。
      >> 続きを読む

      2015/05/23 by ぴぐじい

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