映画ログ - 映画ファンが集まる映画レビューサイト
こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 映画ログ - 映画ファンが集まる映画レビューサイト →会員登録(無料)
このレビューはネタバレを含みます。 この映画「アギーレ・神の怒り」の主人公アギーレは、アマゾンの奥地にあるという黄金郷に取り憑かれた男だ。彼は1560年にインディオたちが語る伝説の国エル・ドラド(黄金郷)を発見するために、イスパニアの探検家ピサロに同行し、その大部隊から特別に編成した分遣隊の副隊長に任命されたアギーレ(クラウス・キンスキー)は、様々な困難に遭遇しながらも、筏でアマゾン河を上り、奥地へと入りこんでいくのだ。しかし、兵士たちはインディオに殺されたり、熱病にかかったりして次々と死んでいくのだった。こうした中、アギーレは最後まで黄金郷が存在することを信じ続け、たったひとりになっても、まだ自分がこの黄金郷に王国を建設することを夢見るのだった----。このアギーレ一行の旅は、狂気への旅でもあると思う。彼らの旅は、征服の歴史でもあった西欧文明への痛烈な皮肉にもなっているのです。筏の上はまるで西欧の歴史の縮図のようで、権力闘争に敗れ重傷を負っている隊長、副隊長のアギーレによって新帝国の王にでっちあげられた食いしん坊の貴族、キリスト教の宣教師、征服され奴隷として連れてこられたインディオ、そして、その中には王子もいるのです。それから、二人の白人女、一人の黒人奴隷、おまけにヨーロッパから連れてこられた馬も一頭います。そして、筏の上の新帝国の王は、河の両岸を次々と自分の領土だと宣言し、書類にサインをしていくのです。ニュー・ジャーマン・シネマの代表的な監督であるヴェルナー・ヘルツォークは、岩肌を剥き出しにした険しい山、果てしなく流れ続ける河、森の中に隠れるインディオといった、アギーレと彼が率いる兵士たちを取り囲む、荒々しく不気味なアマゾンを、見事に描いていて、実に素晴らしいと思う。結局、一行の者全てが死んだ後、たった一人になったアギーレは、"現実と幻想の混濁した世界"に迷いこむのです。いつのまにか、筏の上にはたくさんの小猿が群がり、「私は神の怒りだ」と叫ぶアギーレにまとわりついてくるのです。悠久と神秘のアマゾン河の巨大な流れ、死体を乗せて漂う筏、狂気のアギーレと小猿の群れ、残酷にして滑稽、妖しく美しいラストの映像は、人間の歴史を鋭く貫かずにはおかないのです。未開の自然の中で、何か一つのことを実現しようと夢見る男の野望は、ヴェルナー・ヘルツォーク監督が常に求めているテーマだと言えるのかも知れません。 >> 続きを読む
2017/03/19 by dreamer
「アギーレ・神の怒り」のレビュー
amazonでレビューを見る
アギーレ・神の怒り アギーレカミノイカリ 映画 「アギーレ・神の怒り」 | 映画ログ
ページの先頭に戻る
会員登録(無料)
最近チェックした映画