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このレビューはネタバレを含みます。 CGをふんだんに使った派手なアクションや男女の甘い恋愛シーンを観たい人には、この映画「ルイーサ」は無縁の映画かもしれない。しかし、誰もが迎える「老年」をこれほどリアルに描いた映画も珍しいと思う。折しも超高齢化時代を迎えるにあたって、多くの人々に是非、観て欲しい、味わい深い大人の映画だと言えると思う。南米のアルゼンチンからやって来た、60歳のルイーサの気合の入った生き方を、じっくりと堪能できる。さっき「老年」と書いたが、65歳以上を老人と呼ぶ日本の慣習に従うと、「老年」はいささか語弊があるかもしれません。しかし、とにもかくにも、このルイーサという独り暮らしの女性を語るには、60歳という年齢は不可欠だ。長年勤めた墓地の管理会社を突然、首になり、さらにスター女優のメイドというアルバイトの職も失ったのだから。しかも、首を宣告される直前に、彼女の唯一の友であり、家族でもある愛猫が死んでしまってお先真っ暗。仕方なく、地下鉄の駅で物乞いをするはめに。「別に物乞いまで」と思わないでもないが、ここからがこの映画の真骨頂なんですね。片足の中高年の、と言ってもほとんど老人の男と出会い、心を通わせ、冷凍庫に保管されていた亡き愛猫の埋葬にこぎつける。つまり、夫と娘を亡くした孤独な女性が、愛猫の代わりに友を得て、心の安寧を取り戻すのだ。これは、突然の回顧による生活の不安と貧困という、非情な社会に対する異議申し立てであると同時に、もうひとつアルゼンチンという国の抱える特殊事情が隠されていることを忘れてはならないと思う。それは長年「夫と娘の喪に服した」という事実。ラストの墓参りのシーンで、二人の亡くなった年が「1976年」だと読み取れるが、これはまさしく軍事政権による虐殺の年なのだ。ここで「服喪」の意味が氷解したんですね。夫と娘の死因について一切言及していないが、かの国では自明のことなのであろう。そういう意味で、この映画は、なかなか奥の深い社会派映画だと思いますね。 >> 続きを読む
2019/02/06 by dreamer
「ルイーサ」のレビュー
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