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白昼の無頼漢

Highnoon for Gangsters
ジャンル: アクション
公開: 1961/11/01
監督:
製作国: 日本
配給: ニュー東映

    白昼の無頼漢 の映画レビュー (最新順)

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    全1件
    • 5.0 ハラハラ クール

      ネタバレ   このレビューはネタバレを含みます。
      この映画「白昼の無頼漢」は、深作欣二監督にとって初めての長編映画となる記念すべき作品だ。

      時代劇から現代劇への模索を図っていた、1960年代初期の東映は、新東宝からやって来た石井輝男監督の「花と嵐とギャング」を手始めに、新感覚のギャング路線を敷き、このクールでスピーディーなアクション・コメディタッチの、当時の東映のみならず、日本映画界においても画期的で、日本映画離れした石井作品に多くの若い監督たちが触発されたと言われている。

      深作欣二監督もその一人だが、この作品はそうした新しい東映の潮流から生まれた"無国籍アクション"の傑作だ。

      そして、この作品に深作欣二監督がかなりの愛着を抱いていたことは、ずっと後年に撮る「いつかギラギラする日」というアクション映画が、この「白昼の無頼漢」のリメークになっていることからもうかがえる。

      集団による現金輸送車襲撃という、犯罪アクションの古典的スタイルに、民族間の葛藤を絡ませたところが実に異色で、この現金輸送車を襲ったギャング団の中から、男女一組が現金を持ったまま逃げ、残りのギャングがそれを追い、さらに漁夫の利を狙って暴力団が追いかけて来るという骨格部分は、ほぼ同じだ。

      ただし、時代を鋭く切り取って生々しく見せてくれるという点で、「白昼の無頼漢」は「いつかギラギラする日」を凌駕していると思う。
      そういうことから、この作品はもっと評価されてしかるべきだし、とにかく凄い作品だ。

      物語は、米軍基地出入りの現金輸送車襲撃を企む宮原(丹波哲郎)という謎の男により、ギヤング団が結成されるところから始まる。
      宮原は「俺は道徳的な男なんだ」と口にするが、本音は「道徳」が生きてゆく上で一番邪魔になると悟っている。

      こうして集められたのは、密かに殺人をしてヤクザに追われる米軍の黒人兵トム(アイザック・サクソン)、韓国・北朝鮮の二重スパイとして暗躍する金山こと洪全成(春日俊二)、日本を食い物にしようと企む不良アメリカ人のケンディ(ダニー・ユマ)とその妻アン(ラヴィン・シェルトン)で、皆一様にスネに傷を持つクセ者ばかり。

      宮原に弱みを握られているのと、元来の強欲のせいで誘いを断れないのだ。
      これに宮原の女・亜紀(久保菜穂子)と弟分の三郎(曽根晴美)、さらに混血の少女・花子(中原ひとみ)が加わる。

      花子は、女グセの悪いトムをおとなしくさせるため、「子供には玩具が必要」と、宮原が売春街から僅かな金で買って来た少女だ。
      ところが、トムとの間に純な愛情が芽生えてゆく。

      社会の底辺で虐げられ続けて来た男女が、心を寄せ合う。
      英語がわからないという花子に、たどたどしい日本語で話しかけるトムが、なんとも切ない。

      彼らが襲う標的は、銀行から米軍基地へ向かう途中の現金輸送車。
      宮原は全員を陰のスポンサーの別荘に集め、計画と準備にとりかかるが、互いに反目しあって、なかなかまとまろうとしない。
      おまけに黒人兵が殺した男女の片割れが、暴力団の組長の義弟だったため、組織までが介入して来て、難しい局面に立たされることになる。

      それでも強引に計画を実行し、警備の米兵を殺して金袋は奪ったものの、追って来た暴力団に米人の妻が撃ち殺され、さらに仲間割れで夫も死に、そのどさくさに黒人兵と混血少女が、金袋とともに車で逃走するという始末。

      しかし、何とか二人の隠れ家を突き止め、残りの全員が廃屋となった基地に集結、追って来た暴力団と激しい銃撃戦の末、金袋は車とともにダイナマイトで吹っ飛ばされ、生き残ったのはわずかに混血少女だけ。
      少女は虚しく拳銃を空へ向けてぶっ放すのだった-------。

      一人一人のキャラクターがはっきりしていて、憎悪の底にある人種間の差別問題など、かなり露骨に、あからさまにドラマやセリフに取り入れられ、ある種の爽快感さえ感じられる。

      混血少女は別として、善人が一人も登場しないというのも、実にクールだ。
      シャープなアクションといい、深作監督得意のカットの切れ味の鋭さといい、実に見事だ。

      米軍基地の現金を強奪するというアイディアも、1960年の安保闘争から一年後という当時の状況から考えるとただの思いつきではなく、一種の反米感情の表われだと見てとれる。

      そうした、安保闘争や朝鮮戦争の苦い体験を、不良米人や韓国・北朝鮮の二重スパイなどを持ち出して、エンターテインメントのオブラートに包み、徹底して揶揄したのがこの作品だろう。

      その観点から考えると、外車の後部座席に泰然自若として鎮座し、主人公に軍資金を渡す、でっぷり太った中国人のスポンサー(柳永二郎)の存在が、実に不気味だ。
      >> 続きを読む

      2019/03/10 by dreamer

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