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欲望

Blow-up
ジャンル: 外国映画 , ミステリー・サスペンス , ドラマ
公開: 1967/06/03
製作国: イギリス
配給: MGM

    欲望 の映画レビュー (最新順)

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    全1件
    • 5.0 クール

      まず第一に、ヴァネッサ・レッドグレイヴすごい綺麗だし
      ハービー・ハンコックの音楽がめちゃくちゃおしゃれなのでそれだけでも価値があった。

      ストーリーはやや難解というか、最後のテニスのシーンを見るまで何が言いたかったのか分からない。
      そのテニスのシーンを見て、ああなるほど、と作品全体のテーマが見えてくるような構造になっている。

      映画にしても小説にしても、芸術というのは常に「なんだか分からない」や、
      「かもしれない」と感じるくらい解釈の余地を残す方が評価されるものである。
      難しく考えさせればさせるほど、鑑賞者はそれに夢中になりあらぬ解釈を付け加えていく。
      (その解釈は私たちが「そうであればいいな」と思うこと、つまり「欲望」に起因しているのである。)
      そしてその解釈の幅が広いほど「いい作品」になるというわけだ。

      この作品は、そんな芸術の在り方への一種の批判ともいえるだろう。
      そしてまた、その批判をこの映画自身が背負っていることも興味深い。
      この映画は、見た人の分だけ解釈が存在する映画だからだ。
      つまり、入れ子構造で「芸術への批判」を体現している。

      こうした批判は他のシーンでも個別に観られる。
      主人公がたまたま行ったバンドのライブで、ギタリストが音声の不調に怒ってギターを壊し
      そのネックを観客に投げつける、というシーンがある。
      観客が一斉にそのネックに飛びつく中、運よく主人公がそのネックを手にするのだが、勢いで取っただけなのでライブ会場を出た途端それを捨ててしまう。もちろん街行く人もネックに何の興味も示さない。
      バンドのことをみんな知っている会場のなかでこそ価値があったものの、一歩外に出たら壊れたギターのネックなど何の価値もないのだ。

      ここでも、解釈を共有する人たちの中では芸術は価値を持つものの、
      実社会においては何の価値もないという、芸術の不確かさを鋭く切り取っている。
      3重の入れ子になっているとも言えるかもしれない。

      芸術の本質なんて本当は空虚で冷たくて何もなく、それに勝手に解釈をつけるからこそ価値が生まれる。
      そんなアントニオーニの芸術への厳しい姿勢が見られる濃厚な作品である。

      また、演出や撮影方法も独特だ。
      全方向から人物を切り取るような撮り方や、カットつなぎにおいてパンを多用することで、映像に三次元的な動きが出るので印象的なシーンがとても多い。
      パンを使った視線誘導ももれなくおしゃれなので、映像だけでも見る価値がある。

      加えて、全体的に冷たい印象がするライティング、おしゃれすぎる衣装をまとった登場人物、
      写真スタジオという異世界的な雰囲気のある舞台、どこか人工的な公園。
      どこまでが作為なのか分からないが、こういった要素のすべてが
      無機質で無感情な雰囲気を作り上げている。どの要素も入念に考えられているといった感じ。
      >> 続きを読む

      2016/11/14 by 130

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