こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 映画ログ - 映画ファンが集まる映画レビューサイト →会員登録(無料)

クロエ

Chloe
ジャンル: ドラマ , ラブロマンス
公開: 2002/06/15
監督:
製作国: 日本
配給: サンセントシネマワークス

    クロエ の映画レビュー (最新順)

    最新のレビュー順 | 人気のレビュー順 すべての映画レビューとコメントを開く
    全1件
    • 4.0 切ない

      ネタバレ   このレビューはネタバレを含みます。
      人は誰かのために、何かをしてあげることができるのか? ボリス・ヴィアンの小説を翻案した、この映画「クロエ」で、利重剛監督はそんなことを、映画の中で考察しているという、かなり深く重たいテーマを持った作品です。

      地味な性格の主人公の高太郎(永瀬正敏)は、偶然出会ったクロエ(ともさかりえ)に一目惚れをしてしまいます。彼の無器用でおずおずした求愛に、クロエは喜んで応えます。しかし、幸せも束の間、クロエは肺に睡蓮が宿るという奇病に侵され----。この二人に人はいいが、生活力のない英助(塚本晋也)と恋人の日出美(松田美由紀)ら、優しい人たちが絡んで物語は進んで行きます。

      この映画の中には、誰かのために何かをするというモチーフが様々な様相をもって立ち現れてきます。例えば、英助の借金を高太郎が肩代わりしたり、英助のために日出美が怪しげなアーティストを殺してしまったり----。

      ところが、英助は高太郎の金を無駄遣いしたり、日出美が殺人を犯した時、英助は既に死んでいたりと、彼らの善幸は、悲しいかな、相手を救えないのです。

      そして、最も悲しい献身は、クロエの命を救う金を稼ぐため、身を粉にして働く高太郎のその行為なのです。クロエはそんな高太郎に懇願するのです。「無理しないで。ただ一緒にいたいの。時間がないのよ。二人でもっと色んなものを見ようよ」と。そして、それを聞いた高太郎は、「なんでそんなこと言うんだ」と怒って出て行くのです----。

      深く愛し合っているからこそ、二人の間に亀裂が生じてしまうという哀しさ----。そんな現実の中での皮肉を前に、観ている私は言葉を失くしてしまいます。

      しかし、映画はこのままでは終わらず、衰弱の進んだクロエが高太郎に、今度はこんな懇願をするのです。「私の代わりに散歩をしてきて。私にはもう外の世界が見られないから」----と。

      愛する人のために街を眺め、空を見上げる高太郎の姿に、思わず目頭を熱くしている自分に気づきます。それはほんのささやかな行為なのかも知れません。それをすることによって、人の命を救うことはできません。だがそれは、この物語の中で初めて、愛する人のために、人が何かをしてあげられた瞬間だと思うのです。

      人を救おうという神のような考えを捨てた時、人は初めて愛する人に何かをしてあげられる。そんな真実を、クロエは一輪の睡蓮に託して逝ったのです。
      >> 続きを読む

      2016/10/02 by dreamer

      「クロエ」のレビュー

    この映画を最近、ラックに追加した会員

    クロエ
    クロエ

    映画 「クロエ」 | 映画ログ

    会員登録(無料)

    今月のおすすめ映画
    読書ログはこちら
    映画ログさんのラック

    最近チェックした映画