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ハンナ・アーレント

Hannah Arendt
ジャンル: ドキュメンタリー , 伝記 , ドラマ
公開: 2013/10/26
製作国: ドイツ , フランス
配給: セテラ・インターナショナル

    ハンナ・アーレント の映画レビュー (最新順)

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    全9件
    • 4.0

      「考えることをやめたとき、人間はいとも簡単に残虐な行為を行う。考えることをやめたものは人間であることを拒絶したものだ。私が望むのは考えることで人間が強くなることだ。」

      反知性主義がはびこり、「空気を読む」ことが何よりも重視され、多様性を認めず同調圧力がどんどん強くなる現代の日本で、ハンナのこの言葉がどれだけの人に響くだろうか。
      いや、この言葉を、どれだけの人でもいい、誰かに響かせるべく努力することが求められていると強く思う。

      2017/02/27 by 室田尚子

      「ハンナ・アーレント」のレビュー

    • 4.0 切ない

      「世界最大の悪は、ごく平凡な人間が行う悪です。そんな人には動機もなく、信念も邪心も悪魔的な意図もない。」
      ハンナアーレントは劇中でこう語る。

      ナチ幹部の残党としてイスラエルに捕まったアイヒマン。
      その彼を法廷で観察し、その報告をアメリカの雑誌に寄稿したユダヤ人のハンナアーレント。

      物語はこの事件にのみ焦点を当てて進んでいく。
      タイトルはハンナアーレントだが、「マーガレットサッチャー鉄の女の涙」のようにある人間の人生すべてを追った物語ではない。

      ハンナは、アイヒマンについて「彼は平凡な人間で、彼の下した命令の残虐さとは同列に語れない。彼はただ命令に従っただけで、彼自身がユダヤ人を迫害したいと思っていたわけではない。」という報告をした。

      ハンナアーレントが言うことは日本人である私には自然に理解できた。
      日本が戦時中、中国人や韓国人をどれほどひどく扱っていたとしても、日本の教育を受けた私の感覚では「リーダーが悪かった」としか思わないからだ。
      軍隊や国民はそれに従うことしかできなかったのだから、そこに意志などなかった、とハンナの言うことを自国の歴史に重ねてしまう。

      しかし、この実話が議論を呼び起こし、かつ映画にまでなったのは、彼女がユダヤ人であるからに他ならない。
      被害者であるユダヤ人のハンナが、ナチの幹部を擁護するかのような報告をしたことが一番の肝である。

      この「人間の悪は常に凡庸で、根源的な悪などない。残虐な行為が行われるのは、思考ができなくなった場所でだけ。」
      (つまり、強い強制力で思考が出来なくなった人は、自分のしたことの残虐さよりも命令を守ることだけに集中し始めるということ。)
      と被害者の立場の人が思考するのは極めて難しいことだ。

      日本で置き換えたら、戦争体験をした韓国人が日本帝国軍について「残虐性はなく命令に従っただけ」と言うようなものだろうか。
      2016年でもこんな意見が出ることは考えられないが、それを1963年にしたのだからかなり異端だったに違いない。

      実社会で考えてみても、被害者が加害者の気持ちを汲むことなどほとんどなく、
      大抵は「正義」という言葉で加害者を有無を言わさずに叩くし、その権利があるとされている。

      そんな共通認識の中で、努めて冷静になってこの意見を掲載したことは大変なことだし
      周りのユダヤ人の目に屈せずに最後まで「悪とは何か」を問い続けた彼女は称賛されるべきである。

      そして同時に、こんな映画を製作するドイツという国と日本とを比べていささか違和感を覚えた。

      日本の教育では日本のしたことの非道さよりも、原爆で何人死んだとか、どんな貧しい暮らしをしたかなどを聞く機会が多かった。
      しかし同じ戦犯国のドイツでは、強制収容所のすべてが無料で見学でき、過去の自分たちがしたことの残虐さを公開している。
      自国の恥部ともいえる部分を、教育上でもしっかりと伝えているのだ。現にこんな映画を作っているわけだし。。

      日本は、その恥部を、被爆体験という自分達の受けた被害とすり替えることで今もなお目を背け続けていると思う。
      もちろん私も中韓が好きというわけではないが、どうしてドイツとこんなに差があるんだろうと思わざるを得なかった。

      全く関係のない話になってしまったが、それくらい思考させられる話だった。(思考が人間を人間たらしめるとハンナも言っていた。)

      ※追記
      ちらっと、捕まったナチの幹部をオウム真理教の幹部だと置き換えれば分かるのかなと思った。でもオウムとナチを同列に語れるのか、知識がないので微妙。
      >> 続きを読む

      2016/11/14 by 130

      「ハンナ・アーレント」のレビュー

    • 3.0

      私には少し難しい内容でしたが、
      人々の批判を受けたり、友人を失ったりしても
      自説を貫き通すハンナの強さに心を打たれました。

      哲学者としての彼女の姿勢は立派でした。

      すぐに他人の意見に左右される自分には
      彼女の姿は眩しく美しかった。
      >> 続きを読む

      2015/10/04 by noe

      「ハンナ・アーレント」のレビュー

    • 4.0

      ネタバレ   このレビューはネタバレを含みます。
      ナチスの迫害をくぐり抜け、「悪」について探求した哲学者ハンナ・アーレント。

      彼女の著作のうち、もっとも議論を呼んだのはかのナチスの重鎮にして多くのユダヤ人を収容所送りにしたアイヒマンの裁判についての記録である。邦訳が「イェルサレムのアイヒマン」という題で出版されている。

      映画中にも出てくるが、その論点は
      ・かの大犯罪を犯したアイヒマンが、実はただの「凡人」であったこと。自分の思考を拒否し、ナチスのルールに従っただけであること。
      ・ユダヤ人の中の指導者も、形はなんであれ収容所システムの一端を担っていたこと。
      というものであり、ユダヤ人社会には到底受け入れられないものであった。

      それでもハンナは自説を覆すことはなく、友人を失いながらも自らの哲学を極めていくという物語。

      ハンナの考察は全部正しいかどうか、これはわからない。ただ、周りの人が当たり前、あるいは当然であると考えていても、真実は他のところにあると思ったとき、全てを賭けてそれを主張できるか、そのことが問われているように思った。
      同時に、簡単に意見に流されて、考えることを放棄しがちな人々に、「それで人間といえるのか」という厳しい問を投げかける映画である。
      >> 続きを読む

      2015/05/31 by viisi

      「ハンナ・アーレント」のレビュー

    • 自分が真実と思っていることなんて物事のほんの一面なのかもしれませんよね。私は何かを失っても主張するとかできないかも・・・と考えさせられます。 >> 続きを読む

      2015/05/31 by ただひこ

    • 4.0

      ハンナ・アーレントの人生を描くものではなく、彼女の抱えたすべてをある一つの事件とともに描いた作品。彼女は倫理の教科書で習う唯一の女性哲学者そして最新の哲学者であり(私の記憶する限りで)、名前は知ってはいたのだが、哲学との相性が悪いこともあり、よくはわかってはいなかった。この映画を見たからといってアーレントの思想や人生を理解できるとは思わないが(伝記的内容ではない、という意味)、考えさせられる、なにか訴えてくる作品である。戦後70年を迎える現在、過去をようやく対象化し科学的考察を加えられるようになった今なら、彼女の考えに理解を示せる人も多いと思う。彼女もまた、多くの偉大な人物と同様に未来に生きていたのかもしれない。とにかく、いまいちど人類の歴史を見直し、未来を創造するためのヒントを探そう。人間は万能ではない。故に過ちも犯す。冷静にその事実を受け止め、謙虚に生きていく姿勢を学ぼう。
      あと、英語とドイツ語両方が出てくるので、個人的にはその切り替えを楽しんでいました!
      >> 続きを読む

      2015/03/17 by heath

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