こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 映画ログ - 映画ファンが集まる映画レビューサイト →会員登録(無料)

燃えつきた納屋

ジャンル: ミステリー・サスペンス , ドラマ
製作国: フランス
配給: 20世紀フォックス

    燃えつきた納屋 の映画レビュー (最新順)

    最新のレビュー順 | 人気のレビュー順 すべての映画レビューとコメントを開く
    全1件
    • 4.0 切ない クール

      ネタバレ   このレビューはネタバレを含みます。
      この映画「燃えつきた納屋」は、実に美しい映像だ。その美しさに、文学的な香気が匂い立つほどだ。そして、ほとんど、戦慄さえ感じさせてくれる作品なのだ。

      まず、映画の冒頭での、一面の雪の銀世界に息をのんでしまう。

      一年の半分は白一色に埋もれるという、フランス東部の高地の小さな村。この閉鎖的な地域社会で殺人事件が起きる。

      休暇旅行でスイスへ向かう、通りすがりの金持ちのパリ女が、高級車から刺殺死体となって投げ出され、所持金を奪われていた。

      そこへ、ブザンソンの街から、予審判事のアラン・ドロンが、捜査のためやって来る。そして、彼は現場に近い農場一家に、容疑の目を向ける。

      この農場を切り回すのは、雌牛のようにがっしりと、侵しがたい尊厳さえ持つ、初老のシモーヌ・シニョレだ。

      今は、無力に老いた夫と、実は不満がいっぱいの二組の息子夫婦と、娘と孫たちの大所帯を、気丈に支えて守り抜く50女は、村人からの信頼も厚く、警察署長さえ一目置くほどの存在なのだ。

      だが、判事は、一家の次男坊を徹底的にマークし、一家に接近し、内部に踏み込んで探ろうとする。この、いわばヨソ者の"闖入"によって、彼ら親子の断絶と裏切りが暴かれ、それは一家の崩壊へとつながっていく----。

      この映画は一応、ミステリー仕立てになっているが、そのサスペンスは、むしろ判事とヒロインの農婦との、"心理ドラマ"にあると思う。

      いわば、敵対関係にある二人の、けれど"強く美しい都会の男"と、"母に似た立派な女"との、言わず語らぬ"郷愁と敬慕の思いの交流"こそ、私の胸に切なく迫ってくるのだ。

      この映画の題名「燃えつきた納屋」は、農場のアダ名だが、一家の現実と、女家長シモーヌ・シニョレの心情的な世界の終末を象徴しているような、いい題名だ。

      青春の夢を捨て、妻として、夫を愛し、子供たちを愛して、必死に働き、守り続けてきた"納屋"の、だがその炎上に、揺らめいた最後の"女の情念"が痛ましい。

      しんしんと降り積む雪の風景と、ジャン・ミシェル・ジャールの哀切の旋律に、人の世の人の営みの孤独が、そくそくと胸に迫ってくる。
      >> 続きを読む

      2017/04/03 by dreamer

      「燃えつきた納屋」のレビュー

    この映画を最近、ラックに追加した会員

    燃えつきた納屋


    映画 「燃えつきた納屋」 | 映画ログ

    会員登録(無料)

    今月のおすすめ映画
    読書ログはこちら
    映画ログさんのラック

    最近チェックした映画