スター・トレックⅠ／リマスター版スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

劇場版第1作。地球へ迫る巨大な雲状のエイリアンを迎撃すべく、カーク（シャトナー）が指揮するエンタープライズ号が発進する。

原題: Star Trek: The Motion Picture

2020/06/02 by Silencer

「スター・トレックⅠ／リマスター版スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]」のレビュー

  このレビューはネタバレを含みます。
"TV版宇宙大作戦をロバート・ワイズ監督が映画化した記念すべき第1弾 「スター・トレック」"

この「スター・トレック」シリーズは、1966年に作られたSFのTVシリーズで、カーク船長を中心とする宇宙船エンタープライズ号の乗組員が、宇宙航海の途中で遭遇する事件を描くという内容で、全米で放映されて以来、世界51カ国で愛され、幅広いファン=トレッキーを生んだ、このTVシリーズの記念すべき待望の映画化第1弾が、ロバート・ワイズ監督が撮った「スター・トレック」なのです。

雲状の巨大な物体が地球に迫って来ます。この正体を突き止め、地球の危機を救うべくエンタープライズ号が発進します。そして、謎の物体の中に入って彼らが見たものとは?----。

公開当時、4,200万ドルの巨費を投じて製作されたSF大作ですが、この映画化作品は、TVシリーズのような内容の物を期待していたトレッキーには不評だったという事ですが、私のようにトレッキーでもないような純粋な映画好きにとっては、かなり面白くて楽しめた作品になっていたと思います。

このTV版の「宇宙大作戦」の映画化版「スター・トレック」は、観る側の我々の方から取っ組んで行けばいく程、果てしない奥行に満ちた魅惑を与えてくれる、そんな壮大なSF映画であるように感じました。

ロバート・ワイズ監督と言えば、「ウエスト・サイド物語」「サウンド・オブ・ミュージック」をはじめミュージカルの巨匠のように言われていますが、「罠」「傷だらけの栄光」というように、本質は光と影、その鮮やかな切り返しで映像のリズムを創り、我々観る者を感覚的な陶酔に巻き込みながら、自己のテーマへと引き込んで行く監督だと思うのです。

そのようなロバート・ワイズ監督のSFだから、予想通り、一筋縄ではいかない映画になっているような気がします。もちろん、巨大なスターシップが宇宙をよぎる迫力もさることながら、何よりも"色彩の交差が織りなすスペクタクル"こそ、ワイズ監督の狙いであったのだと思います。

広大で果てしない宇宙を航行するエンタープライズ号を次から次へと襲う危機や、宇宙空間における"次元変転の瞬間"が、画面を覆う洪水のような光彩の流れによって描かれていくのです。

そして、機械が最後に求めるのは、感性であり、創造主たる人間との合体なのです。機械文明の極点における人間生命の終局と新しい宇宙生命の誕生----。それは機械が持ち得るパワーへの理性の参加であり、しいてはヒューマニズムによる機械のパワーへのコントロールという願望でこそあるのだと思います。

この「スター・トレック」という映画は、「スター・ウォーズ」シリーズのように、どんどん物理的なスペクタクルを与えてくれるものとは違い、我々観る者の側から、積極的に取っ組んで行く映画だと思うのです。あの「2001年宇宙の旅」や「地獄の黙示録」と同じように----。

そこには共通して、"映像による絢爛たる感覚的な陶酔"があり、"壮大なテーマ"があるのです。 >> 続きを読む

2016/08/03 by dreamer

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