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誘拐報道 [DVD]

ジャンル: ミステリー・サスペンス , ドラマ
監督: 伊藤俊也
キャスト: 萩原健一 , 小柳ルミ子 , 高橋かおり , 岡本富士太 , 秋吉久美子
形式: DVD 134分 Dolby , Widescreen
定価: 4,104 円
発売元: バップ

    誘拐報道 [DVD] の映画レビュー (最新順)

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    全1件
    • 4.0 切ない ハラハラ

      ネタバレ   このレビューはネタバレを含みます。
      ある冬の午後、歯科医の息子である小学生が姿を消す。夕方、宝塚市の歯科医宅に電話がかかる。身代金は三千万円、警察に通報すれば子供の命は保証しないと----。だが歯科医夫妻(岡本富士太・秋吉久美子)は警察へ通報する。

      兵庫県警は報道陣に事件を説明、子供の生命の安全が保障されるまで、報道を控えるという協定を要請した。

      ここまで観てきて、私はこの映画が誘拐事件とマスコミ報道のありかた、というようなテーマの映画かと思った。確かにそれも一つのテーマではある。何しろこれは、読売新聞大阪本社社会部の原作を基にしており、東映と読売系列の日本テレビの提携作品で、したがって読売新聞のPR的な要素も持っている。

      原作は確かに読売新聞記者たちの書いたドキュメントではあるが、脚本の松田寛夫、監督の伊藤俊也ら映画の作者たちは、明らかにそのテーマよりも、誘拐犯人の人間像の描写の方に力を注いでいるように思う。

      "さそり"シリーズなどで華麗な様式美を定着させた伊藤俊也監督が、この「誘拐報道」では犯人側に視点を置いて、犯人とその家族、被害者の家族、報道関係の姿を、誘拐という事件を通して重厚に描き出している。

      犯人はすぐに登場する。裏日本の雪の降る海岸、彼は車のトランクを開け、布団袋に縄をかけた物を取り出し、崖っぷちから暗い日本海をのぞき込む。

      彼が何を海に投げ込もうとしているのかは、我々観ている者の目に明らかだ。だが、のぞき込んだ海の中には、潜水服姿の密猟者たちがおり、それは果たせなかった。

      この犯人を演じているのはショーケンこと萩原健一で、その無表情のようでいて、何かの思いに耐えている姿が、実にいい。

      彼は少年を車のトランクの中に入れたまま走る。時々、公衆電話から親に脅迫電話をかける。そのうち、段々と少年に情が移ってきて、少年が腹が減ったと言えば、走ってジャムパンとジュースを買ってきて食べさせたりする。

      彼は経営していた喫茶店を乗っ取られ、無一文になり、高利の金を借りたのだ。妻(小柳ルミ子)とのヒリヒリした言い合いのやり切れなさ。どうしてこんなにも荒廃した生活感が出せるのだろうと唸ってしまう。実にいい演技だ。

      こうして犯人は、奥丹後の母親(賀原夏子)の家に行く。母と食事をしている時の彼の安らぎの表情----。

      やがて少年は寒さのあまり、風邪をひき、熱を出す。命が危ない、うろたえる犯人。切羽詰まって脅迫電話をかける。十円玉がない。早く場所を決めるんだ。もう十円玉がない----。

      この社会から疎外された心弱き、ひとりの男の追い詰められた人生が、この映画にはシンパシーを持って描かれているのは明らかだ。この男はもともと、そんな大それた犯罪の出来る男じゃないんだとでも言うように----。

      誘拐は凶悪で、絶対に許してはならない犯罪ではあるが、それを犯したこの映画の主人公には、何か共感を抱かせるようなものを感じさせてくれる。少なくとも、この映画に登場してくる大新聞のエリート意識むき出しの新聞記者たちよりも、遥かに人間味を感じさせるのだ。
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      2016/12/23 by dreamer

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    誘拐報道 [DVD] - 伊藤俊也 | 映画ログ
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    JANコード:4988021143882

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