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エルミタージュ幻想《ニューマスター版》 [DVD]

ジャンル: ドラマ
監督: アレクサンドル・ソクーロフ
キャスト: セルゲイ・ドレイデン , マリア・クヅネツォワ , レオニード・モズゴヴォイ , ダヴィッド・ギオルゴビアーニ , アレクサンドル・チャバン
形式: DVD 96分 色 , ドルビー , ワイドスクリーン
定価: 5,184 円
発売元: 紀伊國屋書店

    エルミタージュ幻想《ニューマスター版》 [DVD] の映画レビュー (最新順)

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    全1件
    • 2.0

      原題Russian Ark。ロシアの方舟。だから最後の場面で開いた扉越しに海が見えるわけか。鈍色の不吉な海。舞踏会がはね、眩いほどに着飾った人々が正面玄関に向かって長い長い列をなす。楽団の奏でる送別の調べ。しかしそれは、彼らにとって葬送の調べでもあるだろう。そう、方舟を囲繞する海とは、革命の先ぶれであり、ほかならぬ運命の暗示。

      しかし冒頭。雪降る中、到着した舞踏会の参加者が裏口のようなところに殺到したのはどういうことか。若い男女が手と手を取り合って地下へ地下へと降りていく理由も定かでない。すると、そこはどうやら舞台の「奈落」らしいとわかる。

      90分ワンカットですか。広間を横断するごとに時代を遡行、ないしは下って、さながらアンゲロプロスの歴史パノラマのごとき展開を期待したが、そこまでの力作ではない。ヨーロッパを体現する18世紀のフランス人外交官がカメラを引き連れて狂言回しとなり、各回廊、各広間を案内していくのだが、エカテリーナが出てきたかと思うと美術館の現代の入館者と遭遇し、かと思えばロシア正教の青年に喧嘩をふっかけたり水平に絡まれたり……と、まぁ、かなり行き当たりばったりな印象。カメラの視線と同化する「私」はどうやら深い眠りの中にあって、夢を見ているよう。もしくは白昼夢? で、仏人外交官(ヨーロッパ)は、ラファエロを持ち込んで欧化を目論んだアジアたるロシアを皮肉り、ルーベンスからアップ・ダイク、エル・グレコのコレクションをひとくさり紹介して……と、このあたりから小生、睡魔と格闘中。

      絵画の鑑賞、これがどうにもキラいでして。本作でもカメラのこちらの友人と称する医者(=知識人)が、キリスト生誕の場面を描いた絵を示して、「この手前にいる鶏と猫だが、鶏は吝嗇の、猫は傲慢の象徴で、これがキリストの生誕により平伏している」としたり顔で言ってのけるのだが、この、美術鑑賞という近代以来の「制度」がもたらした「したり顔」がなんともいけすかないわけでして。図像学自体面白いけれど、上野あたりで有名絵画がかかると人が殺到して2時間3時間待ちなど当たり前、で、入館者たちは冒頭の数作こそ舐め回すように牛歩の鑑賞をするくせに、中盤あたりから早足になって、連れに飯の相談なんぞ始めるのだから、うんざりする。美術館の絵なんぞ、気が向いたらふらっと覗いて、こちらの感受性の加減次第で新しかったりつまらなかったりするくらいがちょうどよく、そのためには安い入館料と常設展示の充実が望まれる。

      閑話休題。
      最後の舞踏会のマズルカ、堪能いたしました。鹿鳴館ではああはいくまい(笑)。「軍服は美しいが軍人は好まない」をフランス人外交官は三度まで繰り返す。ちなみに踊り手の男のほとんどがロシア将校たち。で、これが革命前夜にあたるわけだ。

      時々セリフと口が合っていないことにイライラさせられたが、ワンカット90分では仕方あるまい。ちょっとしたセリフのトチリも許されず、誰かがドレスの長い裾でも踏んづけてよろめこうものなら撮り直しは必須。大ブーイングでしょうな。だからセリフはアフレコで妥協したものとみえる。

      三度目のテイクで完成したとのこと。90分のロングテイクとは恐れ入るが、撮影日数の短さも(準備期間はともかくとして)それはそれで記録的なのではないか。
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      2021/09/17 by Foufou

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    エルミタージュ幻想《ニューマスター版》 [DVD]

    エルミタージュ幻想《ニューマスター版》 [DVD] - アレクサンドル・ソクーロフ | 映画ログ
    ASINコード:B07SN8RDLY
    JANコード:4523215264761

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